大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(オ)101 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人の上告理由は末尾添附別紙記載のとおりであり、これに対する当裁判

所の判断は次の如くである。

論旨は原判決の認定が経験則に反し採証の法則に違反すると主張するけれども、

原判決挙示の証拠によつて原審のような事実を認定することが経験則に反するもの

とは認められない。所論主張の前提となつているところの、上告人が文盲であるこ

と並に本件係争の衣類の価格が二万七千円以上であることは共に原審の認定してい

ないところである。また物価騰貴の趨勢にあるインフレーションの時に長期の質契

約をしては質屋は価値の下落した貨幣によつて質物を受け出されて損失を蒙るおそ

れもあるのであるから、そのような時に質屋が質とりをことわる事情にあつたと認

定することは必ず経験則に反するとは言えない。なお第一審証人Dの証言は原判決

の認定と必ずしも相容れないものではないから原審がこれを以て右の認定を左右す

るに足りないものとして排斥したことは失当ではない。論旨はすべて理由がない。

よつて民訴三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い裁判官全員一致の意見を

以て主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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